こんなアリエルも有り得る
るるりら
人魚の名前が アリエルだとしたら
膿ばかり見てきた こんなアリエルも 有り得る
膿には 国境はない
膿には清濁も いっしょくたん
わけることのない暗い世界で
大波小波 ちぢにみだれる感情の波に
とどまることのない論理の飛躍
そんな膿の中に暮らすアリエルは
人の言葉を なぜか知っている
魚の群れのトルネードは
人の言葉より 美しい
「私は 魚への愛を崇拝し 歌うの」
言葉と引き換えに もういちど
二本足が手に入るとしても
膿の中のアリエルは けっして言葉を売ろうとはしない
愛なんていらない
言葉と膿の底で暮らす
そんな
アリエルも 有り得る