アイソニアの騎士、立つ(九)
朧月夜
「ヨラン、今すぐアースランテの首都へと次元跳躍してくれ!」
アイソニアの騎士はヨランののど元につかみかかりながら言った。
「お、お待ちください! あなたはアースランテにとっても、
重要な駒なのですよ。戦線に復帰するのですか?」
「違う。俺はイリアスを救いたいだけだ!」
「では、なおさら慎重にならなくてはいけません。
今は、お待ちください……」ヨランはやっとのことで息を継ぎながら言う。
「だめだ! 今回はお前の忠告も聞き耳を持たない。待ったなしだ!」
「ですが、ハンザガルテに次元跳躍したからと言って、
イリアス様がどこいいるかは分からないでしょう?」
「いや。王宮に直接行ってもらう。フランキスはそこだ」
「ずいぶんと自信満々ですね。ですが、フランキスが王宮に赴いたからと言って、
同じ場面に居合わせることが出来るとは限りません。時を待たなくては……」
「時を待つ用意なら、もうとっくに出来ている!」
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クールラントの詩