エボリューション
マッドビースト


 夕暮れの中へ
 白鳥たちが
 旅立った方角を見つめて
 僕も両腕を羽ばたかせている
 
 彼らは悲しみを捨てに行った
 南国のフラミンゴ
 陽気な友の声を聴きたいそうだ

 まだ僕の体は飛び立てない
 翼を捨てた僕たちは
 悲しみを捨てに行けなくなってしまった

 ずっと昔
 進化の三叉路で
 白鳥たちの先祖は飛ぶことを選び
 僕たちの先祖は掴むことを選んだ 

 そんなことお伽話の僕らは
 あの自由な翼に憧れてるけど
 飛ぶことより素敵なにかを
 ネアンデルタールなご先祖様は見つけたんだね

 夕暮れにさよならして
 飛び立てない腕で
 捨てられない悲しみを抱えて
 君に会いにいくよ

 悲しい気持ちがいっぱいで
 泣き出しそうなんだ
 君を抱きしめていいかな?
 どうせ飛びたてないんだ
 君も僕を抱きしめて

 僕らは進化した
 ネアンデルタールなご先祖様の見つけた
 空をあきらめるくらいに素敵なもの
 ほら、体温が混ざり合って
 悲しみを解かしていくよ
 この夕暮れに 
 
 捨てられない悲しみは消化していこう
 それは少し痛いけど
 ほら、僕らには白鳥の求愛の唄みたいに
 愛のために泣かなきゃいけない理由は
 何一つないんだ


自由詩 エボリューション Copyright マッドビースト 2003-11-28 00:21:33
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