そは、さやけし
あらい

巡礼の羽
 風を流して、域を犯し、微笑の穂の垂れ下がるは
ひとまず
 公園で錆びるもの腰を下ろして微動だにせず

ゆらぐもの
心に

なれた手付きで花を摘む
顔を振っては堂々たる
旅立ちにある蝶は羽ばたく
いやいや
すがすがしい うやうやしき
狂わせよ、さやけし。

ささやかな息吹をこの風にのせるなら

紫の湖、翠の森、緋色の小花
 黄色の華火、薄紅色の山々があって、また眼下には有燈色に
 魅せる白銀のお家が並んでいる。陽はいつまでもオレンジの
 香りを、月はきまって夏季のような蜉蝣を求めていた。女が
 そこに向かうにはまだ早すぎ、崖の削ぎ落としたところから、
 溢れ出た極燭の、盤で縫ったその面と
蠢き
 また白い月を背負った黒鳥が、あおいかおをしてとびさって
 は、きていた。とまってはゆけないのだと、ときにながるる
 がままで、森の奥、なにもない、わたしを超えたところで、
 もう樹海の底に、透き通るような開眼で、すべてを見出すよ
 うな、嘘をついた。祈りを捧げているのですと、天を仰ぎ見
 ては。仕方なく零れた日々の欠片ばかりよ
明/冥/命
 破れたあとだとなぞっては腹を割る、錆びついた銃刀は飾ら
 れ、今は輪の中で白い息を吐く。小刻みに斉唱する和音の、
 水の底でひびはたゆみ、無意識の石、幾何イクバクか。流れ薙
 がされ凪に中り、己に反る、サザナミのウタは波打ちぎわで
 、辺りを被うのを

わたしは わたしは、遠く長く未知の硲ハザマで
顔を歪ませ誰かの叫びを模倣していると
惨い悼みで覆ってしまいたいのです


自由詩 そは、さやけし Copyright あらい 2023-05-31 22:12:56
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