アースランテとの駆け引き(四)
朧月夜

フランキスはアースランテに王である、ハッジズとの面会を取り付けた。
アースランテ軍は今、全軍がラゴスへと向かおうとしている。
そんな中、ハッジズはクールラントからの使者を疎ましく思っていた。
(ラゴスに攻め入れば、自動的にクールラントは敵国となる)

「何用か。手短に申せ」
「はい。わたくしどもは、帰国の王位継承者第九位の、
 イリアス・ガ・ラ・ハルデン様を預かっております」
「何だと……?」

フランキスは額から汗を流していた。ハッジズのその声は、
五大陸すべてに響き渡るほどに激しい調子を帯びていたのである。
「お前はイリアスを誘拐したのか?」

「いいえ。わたしではありません。我が国の諜報機関オーバ・ニーチェです」
「同じことであろう。で、イリアスは今どこにいるのだ。
 そんなことでこの戦争を止められると思っているのか?」


自由詩 アースランテとの駆け引き(四) Copyright 朧月夜 2023-05-31 03:01:09
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クールラントの詩