アースランテとの駆け引き(三)
朧月夜

そのころ、イリアス・ナディを乗せた馬車は、
アースランテの首都ハンザガルテに迫ろうとしていた。
フランキス・ユーランディアが同道している。
(なんとしてでもアースランテとの和睦を取り付けねば……)

しかし、その姿勢はクールラントにしては傲慢であったと言えるだろう。
イリアスは、アースランテの王位継承権第九位である。
が、人質としての価値がいかほどのものであっただろうか。
それは、フランキスにとっても未知だった。

「汝が国の王位継承者を預かっている。生殺与奪は我が国が握っている」
口上はいかほどの工夫の必要があっただろう……
フランキスは胃がきりきりと痛むのを感じていた。

(クーラス様も厄介な仕事を押し付けてくる……)
アースランテは今全軍をラゴスに向けていた。クールラントの立ち位置とは?
フランキスは策謀の渦中で、己の野心をたぎらせていた。


自由詩 アースランテとの駆け引き(三) Copyright 朧月夜 2023-05-30 02:51:51
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩