アースランテとの駆け引き(二)
朧月夜
ラゴスの議事会議長、ケンパ・ハルラージャは言った。
「国家の威信と国民の命、どちらが大切ですかな?」
アウゼルは一瞬言葉につまった。
「いずれもが、国家にとっては大事である」
アースランテ軍は、ラゴスの要塞、サンクト・ガリに迫ろうとしている。
いや……今回は迂回路を取るのであろうか?
アースランテの北西、ケイスパランは、ラゴス軍の力の及ばない土地だった。
アースランテの民兵たちも、今は敵勢力に対して武装している。
「さて、どう出てくる? ハッジズ・ア・ラ・ガランデ?」
アウゼル・ローガンテは今回の戦いは、第一次ライランテ戦争よりも、
一層の混沌をもたらすであろうことが分かっていた。
「我が国にも優秀な魔導士たちがいれば良いのであるが……」
アウゼルは独りごちるにように言った。──エインスベル。
(もしも、彼女をまた味方につけることができるのなら……)
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クールラントの詩