曇天の城
リリー
灰色の空に
厳しい線を画いている古城の天守
何百年の年を支えてきた様に
あなたは私へ
愛を 支えようとしてくれている
それなのに
私は人の心を
見つめられ
ない
わたしの
動きも
意識
できない
目的なく
崩れても
崩れても何を希んで波打ち際に築くのか
砂の城
それでも 今、
柔らかに芽を出した樹々達の息づく行方のない拡ごりに
雲がとび
心災わさず
何気なく
童女の様な安らかなよろこび
目には
あなたと仰ぎ見た
曇天の平城だけが実在している
自由詩
曇天の城
Copyright
リリー
2023-05-27 19:37:35
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