ファシの戦い(十九)
朧月夜

こうしてファシの街は、アースランテの手中に落ちた。
しかし、アースランテは傀儡政権を置くことはなかった。
あくまでも、ハッジズはファシブルを併呑しようと考えたのである。
当然、ミーガンテもその牢獄から解放されることはなかった。

この戦いではっきりしたことが一つある。
それはドラゴンを駆る者たちこそが、最高の戦力になるということである。
アースランテは、ラーディガンの助力によって、
ドラゴンたちをいち早く手懐けていた。それが勝因だったと言える。

そこには、剣と剣との血なまぐさい戦いもあった。
だが、大方の兵士たちや魔導士たちは、苦痛を感じる間もなく死んでいった。
それだけが、この戦いの救いと言えば救いだったろう。

ファシブル軍で捕らえられた捕虜の数は、二万名にも上った。
そして、ハッジズの次の標的はラゴスへと向けられる。
最早、ファシブルは敵の数には入らない。そう考えていた。


自由詩 ファシの戦い(十九) Copyright 朧月夜 2023-05-27 17:03:33
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