詩人と中学生のための現代政治入門
室町

『Battleground Melbourne』というドキュメンタリー映画
をご存知でしょうか。
世界各国で数々の賞を受賞した映画ですがネット上で無料
でみることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=xzfJGC1_yPo

不思議なことに日本でこの映画を知っている人があまりお
りません。
映画批評家も詩人も学者もマスメディアもいっさいこの映
画には触れません。知らないのだから無理もないとはいえ
この映画は日本人に見せるには非常に都合の悪い映画だか
らです。日本という国は今
この程度に世界の重要情報から意図的に遮断されています。

わたしたちが世界の重要情報から遮断されているといって
も日本人のだれもそんなことは信じないでしょう。
朝日新聞や日曜朝に流されるTBSの 『サンデーモーニング』
あるいはyoutubeならば宮台真司がコメンターを務める
ビデオドットコムなどをいわゆる「意識高い系リベラル」の
標準的な政治姿勢としてあるいは文科系の教養として身に
つけ参考にしている方がほとんどだとおもいます。
そういう方々はわたしが現代詩フォーラムに投稿する現代
日本とりわけ批評家や詩人作家たちの劣化と愚昧についての
批判を鼻で嗤っておられるかもしれません。

しかし断言しておきますし強調しておきますがこの手のリベ
ラル風意識高い系メディアはすべて上記のドキュメンタリー
映画のような世界を日本に招き入れるものです。リベラルで
も倫理的でもないし世界のすべての人々にとってはリベラル
どころかじつは害悪でしかありません。

さて本題に入る前に迂回して話すことがあります。
沖縄本土復帰記念日からもう10日以上たつのですが
沖縄を例にとって現代政治について
バカはバカなりにざっくばらんな四方山話を語ってみたい
と思います。
実のところ米国にとって沖縄はさっさと処分してしまいた
いお荷物だったわけです。
沖縄の統治権を維持していれば米国がカネを出してインフ
ラを整備しなければならないし
米軍基地にも米国民の税金を注ぎ込まねばならない。
それよりさっさと日本に返還して基地の維持費を日本政府
に出させインフラも日本に整備させたほうがいい。
これが戦後のスマートな植民地思想といえます。

日本政府にとっても実のところ沖縄はべつに返還してもら
いたくはなかったのです。
沖縄には日本へ帰属する以外に当時は独立という道も可能
だった。さんざん議論されて結局沖縄は日本に復帰するこ
とになりましたが沖縄が独立して自立しておれば日本政府
には沖縄の防衛義務もないし毎年莫大な補助金を注ぎ込ま
なくてよかったのですが
しかし米国がそれを嫌がったとわたしは想像しています。
沖縄が独立すれば沖縄には米軍基地があるからどうせ米国
が中国の侵略に対して沖縄を保護せざるをえない。
一方日本は沖縄を東南アジアの一国として対応すればいい
だけの話で今のような面倒な基地反対闘争だの毎年の莫大
な補助金だのといった話はなかったのです。
それどころか沖縄復興のために円借款を与えて感謝され沖
縄を半分経済的な属国として自在にコントロールできたは
ずです。
もちろんこれはコスパだけを考えた場合のことであって当
時の日本としては太平洋戦争で勇敢に戦った沖縄の人たち
のことを考えるとそんな計算だけでは動けなかったわけで
すが今の日本政府なら当時の沖縄が独立したいというのな
ら独立を願ったでしょうね。しかし沖縄の独立を米国が許
さなかった。そんなことになれば米国がお荷物を背負うこ
とになりコスパ的には日本が一人勝ちするからです。

それからいまだに日本が米国の51番めの州になればいい
と言っている愚かな方がいるのでついでに指摘しておきま
すが日本がたとえ何兆ドルを積んでも米国は日本を51番
目の州に加えることなどありえません。
あたりまえの話です。
まず日本を米国の51番目の州に編入すればワシントンに
は合州国(連邦の各州)に対する防衛義務が生じる。これ
はたいへん面倒なことです。
日本は中国ロシア北朝鮮に接している。三国とも核保有国
です。日本を守るということは最終的には核戦争を覚悟し
なければならない。
たかだか極東の小国のために核戦争の危険性を呼び込むこ
とに米国民が納得するでしょうか。
それだけではなく日本の人口は1億以上ですから日本が大
統領選挙に多大な影響力を持つようになり間違いなく副大
統領クラスが日本から出るでしょう。上院議員や下院議員
も多数排出する。かつての敵対国で国連ではいまだに敵国
条項の対象になっている日本が米の51番めの州になるな
どありえません。
それより属国として基地の維持費を払わせ古くなった兵器
を買わせ米の国債も買わせる都合のいい植民地であるほう
がベターに決まっています。

沖縄と日本の例をとりましたがこういうあたりまえのこと
がわかっていない方が意外に多いのです。
植民地とか属国ってのはコスパの問題なんです。
戦後日本を占領した米国は日本のインフラを整備するため
にカネなんか使ってませんし日本の復興のために米国民の
税金など使っておりません。
児童の給食などに米国の援助基金が使われたりしましたが
当時の日本は自助努力の精神に基づきIMF(世界銀行)から
お金を借りてインフラを整備しながら同時に疲弊したアジ
ア諸地域に援助するという離れ業のようなことをやって
戦後の復興を成し遂げました。
IMFの借款を日本が完済したのは1990年7月です。

もうひとつだけ。
Twitterにこんなつぶやきがありました。
[米国は敗けてばかりいるくせにこの30年他国で戦争ばか
り起こしている。いい加減愚かさに気づいてはどうか]

べつに偉そうに他人を諭すつもりは毛頭ありませんがこのつ
ぶやきも現代政治というか現代の戦争というものをまったく
理解されていない方の古い考え方だと思います。
戦争もコスパの時代に入っています。現代の戦争とくに資本
主義的生産様式が進んだ先進国の戦争では勝ち負けはまった
く関係ないのです。
米国は戦後あらゆる国にちょっかいを出していますが勝敗な
ど気にしたことはありません。
これまで述べてきましたように領土的野心もありません。他
国を侵略して支配するなど資本にとってコスパ的にはまった
く無意味だからです。
ベトナムであるいはアフガンで一見敗走したかにみえる惨敗
の醜態を意図的に演出していますが米国は勝敗もまったく気
にしておりません。それからウクライナでも敗けが確定して
いますがこれもまったく気にしておりません。
兵器産業の在庫を売り尽くしたからです。つまりベトナムで
もアフガンでもウクライナでも米国の富裕層は大儲けしてシ
ャンパンで万歳三唱しているのです。
兵器産業が在庫を売りつくして大儲けが終わると米国は一方
的に戦争終結を宣言して立ち去るのです。
勝敗は気にしておりませんがいつ戦争を終わらせるかはいつ
も米国が一方的に決めてきました。
惨めな敗走は米国民にもっと強靭なもっと先鋭的な兵器をつ
くる必要があるぞと洗脳するための演出ではないかとわたし
は勘ぐっています。

どうしてこんなことをだらだら書いたかというと
最近台頭してきた"グローバリズム"というものがなんであ
るかわかっていただきたいからです。
多民族共生ですよ。国境をなくして世界の国が仲良くひと
つになりましょう。多様性ばんざい。これが流行のグロー
バリズムだと思われていますがそんなものじゃないのです
。グローバリズムというのはこれまで語ったようなコスパ
優先植民地主義がもっと巧妙に進化した究極のかたちなん
です。
グローバリズムとはつまるところ米国なら連邦直轄地であ
るワシントンだけが生き延びればいい
日本なら北海道も東京もなにもかも中国に売却しても霞ケ
関の利権スキムだけが存在すれば構わないという資本主義
がスリムに進化した最終思想なんです。
究極の資本主義とはあるいは究極のグローバリズムとは究
極のコスパなんです。国境も民族も文化も性別も関係ない。
要は人間どもから絞るとれるだけ絞りとれればいい。だか
ら国民国家破壊してしまえ。宗教破壊してしまえ。独自の
文化破壊してしまえです。多様性というのは独自性が集ま
ったもののことであってこないだの東京オリンピックのよ
うに日本文化が多様性でごちゃまぜになってしまうような
ものを多様性とはいわないのです。独自性を失くした只の
カオスつまり虚無でしかありません。
これがグローバリズムです。
だから日本人貧困化べつにどうってことないし北海道や沖
縄が中国に侵略されてもどうってことないのです。国民が
死のうが文化が破壊されようがどうってことないのです。

やっと冒頭のドキュメンタリー映画をなぜ紹介したか説明
できそうな気がしてきました。
いま日本では何が行われているか。上記の映画の世界をこ
の国にもたらすための準備がすべて水面下で完成しつつあ
ります。

目下日本政府は"緊急事態条項"を法制化しようとしていま
す。これが冒頭にあげた『Battleground Melbourne』と同
じものを生み出すことは確実です。


たとえば今は2023年5月26日ですがこの時点での世界の関
心事は何か? 日本人には答えられない。
もう何週間も前からそして現在も米国民の注目のみならず
世界が着目しているニュースは
バイデン大統領一族の世界規模の小児売買ビジネスや児童
売春への関与疑惑や同一族の中国でのマネロン疑惑であり
そのバイデン一族を支える元大統領オバマらがFBIを秘密
警察のように私物化して政敵を抹殺している問題です。

共和党下院監視委員会が連日のように証人喚問を行って2000
ページにわたる報告書や議会での証人発言を公開しています。
しかし日本ではいっさい報道されない。
もう米国は終わりです。中東の諸国からすら背を向けられて
ほとんどの国がロシアや中国に寝返っている。
そういうことも報道されない。
それからウクライナなどとうに終わっているんです。実質
ウクライナはもうロシアに完敗してます。
ところがG7体制下の世界主要メディアはそういう事実をい
っさい報道しない。
ニューヨークタイムズもCNNも嘘ばかり垂れ流している。
とくにひどいのがyahooやマイクロソフトニュースgoogle
などです。よくここまでデマを流せるものだと驚きます。
こういう報道を真に受けて
いまだにバイデンのような邪悪で凶悪な人物を持ち上げて
いる日本のマスコミや内田樹 宮台真司 辺見庸といったサヨ
クリベラルたちは犯罪的といっていいほど
蒙昧で視野狭窄に陥っているといわざるをえないのです。






散文(批評随筆小説等) 詩人と中学生のための現代政治入門 Copyright 室町 2023-05-27 10:17:27
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