白息
soft_machine
風は 白い 影を曳き
瞳は 蒼い 雨を揺らす
何も食べず
総て与えず
ひとつづつ奪わない
衝動は
気づかぬうちに偽ると
息でも傷つけ
あたたかいのに
不安で悩ましい
心には映らないのに
探す口伝はどこだろうかと
それでいて
岩燕、君は そんなにゆっくり飛べたのか
花が鋤きこまれる直前の。水田の表を銜え
描く。僕に。滴する北風したたかに降らせ
滴、スポットライトは正しかった
ドミノが駒に顕す裏目
多勢を無勢に取りこむ
並べている途中に はや崩れはじめ
偽攻撃 やめないでおくれ
烏にゆする片翼 次つぎ貫いて
やがて心臓ごと
春と冬とをまるめた朱よね
君に出会えた 兎も角、基数する劇のひと声は
*
父のことと
つかんだ袖の 薄い記憶までです
分けいった山や奥では
どれな人にも気にいられると思う
見晴らしがあるらしい
お念仏をくり返すのみ槌
薪ざっぽう様
疲れを知らぬ 仔馬の歩み
凍みきった 露地で 撓む
新聞記事が昨日の私を
さっそく糾弾している
屋根瓦をひっぺがし
投げ棄てたかどで
「動かすと」 「痛いでしょ」
貴方へのイメージが不自由を育む
次第に浮力が失われても
気づける? こんな高度で
息していられるのだろうか
何故って? とっくに
遊び過ぎたのだから
先生と秘密にした
幻の王国
吸って。吐いて? そう換気して
背裡に多軸する虚星でもいいよ
墓碑を待たない
固めた拳でなければ
憧れはこぬか
自分だった頃を 烈しく打ちたい
ひと粒も残さないで
*
見てよ、瓜坊の 新鮮な足あと
見て、釦に押される手 立てる風ぐるま
吹き荒ぶ歌謡曲が彩る心理外科や
四輪を手放し焚かれる送迎バスも
菫になり、真珠になり
記憶は幼いまま忘れたい
だから忘れ難い
増えすぎた好意が
お婆ちゃんに会いに行かせ
早くお婆ちゃんになりたいになり
息をして生きる、許せなさが被るから
それはどうして?
どうしたって
ね、吸って
そう、樹陰に
ええ、潮彩に
嘘つきって あるのね、ま白い
息してる?
息してる。
甘いのね、息するの