ファシの戦い(十五)
朧月夜

「マリアノス様もお悩みでいらっしゃるのですね?」
ガイゼル・マーガセルは言った。事態は刻々と変化している。
今は民兵も含めた兵士たちが、なんとかアースランテの軍勢を足止めしている。
しかし、翌日、翌々日にはどうなっているか分からない。

「豹の足」とは最終手段である。
兵士たちや騎馬の移動速度を高めるものの、重篤な副作用もある。
「豹の足」を使った場合、ラゴスへの伝令は二日で済む。
もしも、ラゴスがアースランテの後方を攪乱してくれれば……

あるいは、ファシの街からアースランテ軍は撤退するかもしれない。
しかし、一度手に入れた有利な状況を、ハッジズは手放すだろうか?
それも考えにくいことだった。

「ここはやはり遷都を考えるべきではないのか?
 魔導士たちだけでは、この街は守り切れまい。
 が、人民はファシブルに忠誠を誓っている。そう簡単にアースランテには与しまい」


自由詩 ファシの戦い(十五) Copyright 朧月夜 2023-05-25 15:34:51
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩