ファシの戦い(十一)
朧月夜

ファシの街では激戦が続いていた。ファシブル軍も
果敢に応戦したが、アースランテのほうが一枚抜きんでていた。
そこにはやはり、魔導に頼るものと武力に頼るものとの違いがあった。
魔導士の力には限りがあったのである。

魔導士たちは、魔法素子が枯渇すれば、魔力を使うことはできない。
最初の空中戦で、ドラゴンを駆る魔導士たちは、魔力を使い果たしていたのである。
そうすれば、後は数にまさるアースランテ軍の優勢になる。
ファシブルの軍勢は次第に押され始めていた。

マリアノスは憤った。「ファシブルはアルスガルデの末裔だ。
 しかも、街には巨大な魔法石もある。なぜアースランテに対抗できないのか?」
「恐れ入りますが、マリアノス様」ガイゼル・マーガセルが答える。

「魔導士たちは、この戦いに積極的ではないのではないでしょうか。
 魔導士たちの多くは、元老院の議員たちに加担しています。
 まずは御身の安全をお考えください。アースランテに降伏しても良いのです」


自由詩 ファシの戦い(十一) Copyright 朧月夜 2023-05-24 15:29:18
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クールラントの詩