ファシの戦い(十)
朧月夜

マリアノスは、そこで女千人隊長のガイゼル・マーガセルに声をかけた。
「もう、ファシの街は持たないのではないか。わたしは遷都も考えている」
その遷都先は、ファシブルの南方にあるヨーミルノスという街である。
「そこで、我々は態勢を整えようと」

しかし、ガイゼルは反論した。「元老院が許しますまい」と。
「だが、このままではファシブルは座して死を待つだけだ」
「遷都はいけません。ここで戦い続けるべきです」
ガイゼル・マーガセルは毅然として答えた。

「相手がドラゴンであるならば、こちらは召喚獣を召喚しましょう。
 メゾポンテ、ドラーケン。とくにドラーケンはドラゴンの天敵です。
 今ここでファシの街を守らなければ、ファシブルはアースランテの領土となってしまいます」

「お前の言う通りもしれない。魔導士たちを総動員せよ。眠っている暇はない。
 今夜にもアースランテは総攻撃をかけてくるかもしれないのだ」
「はっ。仰せの通りに。必ずアースランテ軍を足止めしてご覧にいれましょう」


自由詩 ファシの戦い(十) Copyright 朧月夜 2023-05-24 15:28:40
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クールラントの詩