ファシの戦い(八)
朧月夜
マリアノスは、そこで女千人隊長のガイゼル・マーガセルに声をかけた。
「もう、ファシの街は持たないのではないか。わたしは遷都も考えている」
その遷都先は、ファシブルの南方にあるヨーミルノスという街である。
「そこで、我々は態勢を整えようと」
しかし、ガイゼルは反論した。「元老院が許しますまい」と。
「だが、このままではファシブルは座して死を待つだけだ」
「遷都はいけません。ここで戦い続けるべきです」
ガイゼル・マーガセルは毅然として答えた。
「相手がドラゴンであるならば、こちらは召喚獣を召喚しましょう。
メゾポンテ、ドラーケン。とくにドラーケンはドラゴンの天敵です。
今ここでファシの街を守らなければ、ファシブルはアースランテの領土となってしまいます」
「お前の言う通りもしれない。魔導士たちを総動員せよ。眠っている暇はない。
今夜にもファシブルは総攻撃をかけてくるかもしれないのだ」
「はっ。仰せの通りに。必ずファシブル軍を足止めしてご覧にいれましょう」
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クールラントの詩