ファシの戦い(五)
朧月夜

そのころ、フランキス・ユーランディアは、
イリアスを連れて、アースランテの首都へと赴こうとしていた。
クールラントとアースランテの同盟を実現させるためである。
イリアスは今や、そのための駒でしかなかった。

ファシの街では、アースランテ軍とファシブル軍の
激戦が繰り広げられていた。当初劣勢だったアースランテ軍は、
今やファシの城壁を突破しようとしている。
魔導士たちも遠隔攻撃によって、城壁にいる兵士たちを屠っていった。

(このまま優勢が続けば、ファシの街は確実に落とせる)
ハッジズ・ア・ラ・ガランデは思った。
ファシの街の城壁の高さは、四マルテにも満たない。

ファシブルの民たちは、魔導に信頼を置き過ぎていたのだろう。
このようなドラゴンが介在する戦いなど、想定してはいなかったのだ。
アースランテの軍勢は、梯子をかけてファシの街の城壁を上った。


自由詩 ファシの戦い(五) Copyright 朧月夜 2023-05-21 23:51:33
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クールラントの詩