巡礼

遠くまで来た、という自覚だけを持って
切符をくぐらせる

そちらは行き止まりですよ

知っていますよ

そうですか、ではお元気で


まっさらなロータリーの照り返しが
あぶらで滲んだレンズ越しにわたしを刺している

見知らぬひとがその通りの振る舞いで
せわしなく通り過ぎていくのを
ただ、黙ってみている







自由詩 巡礼 Copyright  2023-05-19 17:32:23
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十行詩