シデムシマン ライジング
本田憲嵩

そんなきみは本当はぼくじしんのたたかいだった
シデムシマンよ
きみはぼくのひみつの友達
きみは黒い上翅のマントをひろげ青空のどこからかやってきて
急降下でキャタピラーのタイヤにしょうとつしたかと思うと
泥土の地面へとさらに叩きつけられ
そのまんまずぅっと仰向けに寝そべったまんま
そうしてそのみじかい四本の手足を
ただバタバタバタバタさせていたばかり
どう足掻いたって起きあがることのできないそのさまに
胸のうちでひそかに笑いが込みあげ
きみになんだかある種の親しみすらおぼえ
きみは人間以上に人間くさい まるで人間 シデムシマン
ぼくがほんのすこしのあいだ目を離していたそのすきに
どうやったのかきみはようやっと起き上がっていて
そうしてあらたなるステージへと旅立っていった
ああ 人間以上に人間くさい シデムシよ
まるで人間 シデムシマンよ
ああ ぼくのひみつの友達よ



自由詩 シデムシマン ライジング Copyright 本田憲嵩 2023-05-19 02:06:59
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