シデムシマン ライジング
本田憲嵩
そんなきみは本当はぼくじしんのたたかいだった
シデムシマンよ
きみはぼくのひみつの友達
きみは黒い上翅のマントをひろげ青空のどこからかやってきて
急降下でキャタピラーのタイヤにしょうとつしたかと思うと
泥土の地面へとさらに叩きつけられ
そのまんまずぅっと仰向けに寝そべったまんま
そうしてそのみじかい四本の手足を
ただバタバタバタバタさせていたばかり
どう足掻いたって起きあがることのできないそのさまに
胸のうちでひそかに笑いが込みあげ
きみになんだかある種の親しみすらおぼえ
きみは人間以上に人間くさい まるで人間 シデムシマン
ぼくがほんのすこしのあいだ目を離していたそのすきに
どうやったのかきみはようやっと起き上がっていて
そうしてあらたなるステージへと旅立っていった
ああ 人間以上に人間くさい シデムシよ
まるで人間 シデムシマンよ
ああ ぼくのひみつの友達よ