樹木のように
日朗歩野

人間は個として
およそ同じ体積の中で
古い身体を処分し 新しい身体を作り 生きている

樹木というものは
死んだ古い身体の上に 新しい身体を重ねながら
体積を増やし続け 太く大きくなっていく

死んだ古い身体は 内側へ内側へと仕舞われて
身体を支える骨となる
年々太くなっていく立派な骨だ

人間はおよそ同じ体積の中で生きてはいるが
その精神は
樹木のように大きくなり続ける と信じたい

辛い思い 苦しい思い
そういったものを年輪とし 強く丈夫な骨となす

歳を重ねるごとに
太く大きくなりながら
いつまでも生き生きと葉を茂らせ
時には綺麗な花を咲かせる

曲がりくねったとしても
お日様に向かって歩んだ結果なんだと笑って話す
大きな樹木のような
そんな年寄りになりたい



自由詩 樹木のように Copyright 日朗歩野 2023-05-18 18:12:50
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