落陽
リリー


 ベランダで洗濯物を干す
 私の耳にずっと
 とどいている安穏な響き

 それは近所だけれど少し離れているため
 うるさくもない 建設中のマンション工事の音

 手が空いて 見下ろす一階の庭
 いくらかまだ葉を茂らせる朝顔が萎れもせず
 藍色にうすく染まりはじめる空を見あげている

 目を凝らすと 花は
 次第、すぼまってゆく様に見えて

 一日の 全ての感情を集約しようとする一とき

 宵空の高いところに雲一つ
 唯 浮かぶ
 その下に息づくわたしが かわいくみえた



自由詩 落陽 Copyright リリー 2023-05-18 15:28:40
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