あまだれ一夜
ひだかたけし
あまだれ ぽつぽつ
落ち続け
貴女はいったい何処いった?
白い途、水の空
在るもの造形の力、
浮き上がり
岸辺の貴女 逃れゆく
絶えず絶えず逃れゆき
坂道 夜の暗闇に
落ちて消えゆく貴女の姿
あまだれ ぽつぽつ
落ち続け
貴女はいったい何処いった?
チューリップ色とりどり
咲き開く頃、
貴女と一夜過ごした時
遠い汽笛のように 思い出す
遠い汽笛、鳴り響く
一夜の接近
同じ蒲団のなか、
代わりばんこに 肩 貸し合い
わたしの肩に委ねた貴女の顔、
くりくり幼子のように輝いて
あなたは 無垢を超えて無垢だった
互い重荷背負い 一夜だけ
重荷投げ出し 熱 燃やし
あなた 限りなく無防備に開かれて