繊月(せんげつ)
室町
ふくよかな瞼の女が目を伏せると
まつ毛が繊月をつくる
人は信号待ちの束の間 空を見て
雲になることができるし
風になることもできる
しかし
(あの自称詩人の男が)女装して
街を歩いたとしても
繊月は模倣できない
あの男はなぜ女装するのだろう
ポリティカルコレクトネスを蛮刀のように
ふりまわしている無名大学出の公務員
どこに繊月がやさしく孤を描いているのか
ほんとうの女装とは口紅を塗ることでもないし
スカートを履くことでもない
ポリティカルコレクト好きの自称詩批評家
の女もいる
自信がないからフロイトだのラカンだの
を出してわめきちらすあの女も
ポリコレ好きのあの男同様
性同一性障がいなのかもしれない