青紅葉
リリー
ペールベージュのストッキングの脚は歩く度
踵に隙間のできるパンプスが
擬音で表現しずらい音を立てる
そのアレグレットな足音に
澄んだ媒介を感じとって
追い抜かず 私は着いていく
あの布製の小さな手提げ袋には
お弁当が入っているのだろう
わずかに燻みある紺色の鞄は
細い彼女の撫で肩に馴染んでいない
そして駅裏の歩道、傍に一本植った青もみじの木の下
を 二人の女が通り過ぎる
彼女の足音と、青もみじの木洩れ陽は
ペリドットに輝いて
とてもよく似合って見えた
腰痛の持病でもう可愛いパンプスの履けない私の足
新年度には買い替えるつもりだったのに
型崩れして使い勝手の良いショルダーバッグに
今日も頼っている
お昼はコンビニのサンドイッチとカップスープ
そんな私でも、
足元は白のちょっとお洒落なスリッポン
だから 青もみじが似合うだろうか?