青紅葉
リリー

 ペールベージュのストッキングの脚は歩く度
 踵に隙間のできるパンプスが
 擬音で表現しずらい音を立てる

 そのアレグレットな足音に
 澄んだ媒介を感じとって 
 追い抜かず 私は着いていく

 あの布製の小さな手提げ袋には
 お弁当が入っているのだろう
 わずかに燻みある紺色の鞄は
 細い彼女の撫で肩に馴染んでいない

 そして駅裏の歩道、傍に一本植った青もみじの木の下
 を 二人の女が通り過ぎる

 彼女の足音と、青もみじの木洩れ陽は
 ペリドットに輝いて
 とてもよく似合って見えた

 腰痛の持病でもう可愛いパンプスの履けない私の足
 新年度には買い替えるつもりだったのに
 型崩れして使い勝手の良いショルダーバッグに
 今日も頼っている
 お昼はコンビニのサンドイッチとカップスープ

 そんな私でも、
 足元は白のちょっとお洒落なスリッポン
 だから 青もみじが似合うだろうか?
 
 


自由詩 青紅葉 Copyright リリー 2023-05-02 17:04:38
notebook Home 戻る