人力短歌ソロモン
鷹枕可

ゆく春を惜しみてやがて枯れぬ五弁花の普く摘まず 花薗出でて

神に父に見離され行く曠野にて罵るすだま をとうとごろし

みづからをゆくへしれずへ染め終へて暁の虹掛かりて半円

天使戴冠の昏き地政学へ甘んず歴史とは弑逆が揺れ戻し

汀にて倒れる椅子へ空風の部屋にノア柩なす舟造りあれ

冷凍庫種を保存すに万有を棚に並べぬ 乾燥野菜

零時へと都庁舎時計差し掛かり秩序の枢軸移りて移りぬ

一生涯正しき誤りを記し旧約聖書に落ちぬ人影

群衆を離れて出埃及記土地を択ばず入るユダに家

われとわが青春へ去る風にさらばふりかへる丘、壁に跡なく


短歌 人力短歌ソロモン Copyright 鷹枕可 2023-04-27 20:48:00
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