錯綜する思惑(五)
朧月夜

ファシブル、アースランテ、ラゴス。そして、ヒスフェル聖国、
クールラント、レ・スペレラス。それそれの国の思惑は、
ことごとに異なっていた。それぞれの国々が、己が領土の発展を願う。
それは、どうしても避けられないことであっただろう。

言語崩壊から三千年。そこには確固とした国体があった。
おのが秩序と規律に従って、発展していく国家である。
第二の言語崩壊も、もしかすると間近に迫っているようにも思われた。
文化と文明とは、独自の道を踏み出していたのである。

だが、そこに関わる第三の勢力もあった。
ライランテ大陸の東にある、ヤーコンに在する中小国家群である。
彼らは、自らの立ち位置に必ずしも満足してはいなかった。

アースランテの威勢を目にして、自らもライランテの土地に、
新しい根を張ろうと考えていたのである。とくに、ドワーフの国であるエイエントスは、
この機にライランテに対して攻勢をかけようとしていたのだった。


自由詩 錯綜する思惑(五) Copyright 朧月夜 2023-04-21 19:41:53
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クールラントの詩