わたしを生きたお墓にしたいおかあさん
凍湖(とおこ)

わたしが死んだらねわたしのお骨を砕いて毎日たべてね
とおかあさんは言った
わたしに根を下ろし生きたお墓にしたいおかあさん
でもね
わたしはあなたの土じゃないの

あなたが赤ちゃんを産んだらねわたしにあなたのお乳を飲ませてね
とおかあさんは言った
わたしが吸ったものをわたしから吸いたいおかあさん
でもね
わたしはあなたの果実じゃないの

へその緒でつながっていたことを
まだ覚えているあなた
へそからあなたが毒毒と入ってきた
そういうことはもうおしまい

幸いなことに
子どもは残酷になれる

ひとりで大きくなったような顔をして
わたしの足で離れていくから

あなたも思い出してほしい
身軽だったひとりのあなたを
どうか大股で歩いてみて
あなたが信じるより力強く遠くへ行けるよ


自由詩 わたしを生きたお墓にしたいおかあさん Copyright 凍湖(とおこ) 2023-03-12 23:20:00
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