由比良 倖

空はきらきらとして、綺麗で、寝ている星々までもが、
夜を彼方へと彷徨っているようでした。
何年も、私はボタンを押し続けていましたが、
やがて心臓が止まるほど、物静かな
喚きをあちこちに聴くようになりました。
宇宙は産まれたてで、
いつも、花のようです。歌のようです。
(私は転がったり、ここにいないふりをして、平穏に変調を来たしたのです)。
(車に酔った魚のように)、
夜。

好きと言っても、愛してると言っても、
そんなのただの、でまかせの記号?
過ぎていった日々を、
それでも愛してると言えますか?
――
私は今なら、確かに言えます。

夜は聴こえます。
朝よりもずっとくっきりと、
心の底の方で。

「セックスなんて一回で十分だ。
 一回だって多すぎるかも知れないよ。」

「金なんか捨ててしまえ。
 お金なんか捨ててしまえよ。」

静かに、静かにもがき苦しんで、
夜は死にます。

(世界中に僕一人しかいないような孤立感)

ただ、僕が一人でも生きていたと言うことが、
何処かに残ればいいんだけど。


自由詩Copyright 由比良 倖 2023-03-12 16:36:39縦
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