マイブロークン アキハ
秋葉竹



べつに、
くっだらない人生を
生きてきたとはかぎらない。

べつに、
あんたがいなくても、
そうそう世界の景色は
変わらなかったのかもしれない。

けど、ほんとうのところ
あたしには、削りあうような
あんたとの関係しかなかった。

高校の
陸上部のタメで、
あんたの走り高跳びを
憧れてみてた放課後もあったよ。

けど、
なぁんか、素直になれず
ふたりともだちだったけど
なぁんか、ケンカばっかしてたね?



とつぜん、
いなくなられたあたしは、
あんたのお家へ
お焼香に行き、

お悔やみの言葉も知らずに、
まるで狂ってしまったみたいに
目の前の骨壷を
抱いて逃げ去ろうとしたよ。

あんたの家の人に止められたけどさ、
そのとき、
骨壷が割れてしまって、

あたし、
『ごめんなさい、ごめんなさい』って
謝りつづけながら
ぶちまけられた骨の一欠片を
しっかりと握りしめて、

『ごめんなさい、ごめんなさい』って
泣きつづけながら、
ぐっちゃぐっちゃにした、あんたの家から
逃げながら、走りつづけた。

泣きながら。

そのときのことも、
そのあとのことも、
憶えていない。

ただ、
大好きだったのだと。

バカみたいだけど、
おこつを握りしめながら
あからさまに
自覚をしていたのだ。




ねぇ、夜の
消え入りそうな三日月の
尖ったところで、あたしを刺してよ?









自由詩 マイブロークン アキハ Copyright 秋葉竹 2023-03-01 23:22:23
notebook Home 戻る  過去 未来