アイソニアの騎士の焦慮(二)
朧月夜
「万が一……そんな期待が何になる。ヨランよ、
クールラントには、我が国におけるような秘密の組織はないのか?
例えればだが、ヒスフェル聖国におけるアーゼン・クラウトのようなものだが?」
「ございます。クールラントの国内では、オーバ・ニーチェと呼ばれています」
「それだ! クールラントがイリアスの身を誘拐し、
その身柄を秘密のうちに保てているのであれば、
秘密の諜報機関が関わっているに違いない。
ヨランよ、そのオーバ・ニーチェについて、お前が知っている情報を買いたい!」
「情報ですか。それは高くつきますよ。ですが……そうですね、
この際、わたし自身の身柄は棚に上げるとしましょう。そのうえで、
イリアス様の身柄ですが……、これは何とも難しい局面に来ているとも言えます」
「そんなことは分かっている! こちらも命を懸けているのだ。
もしも、イリアスが無事でないのなら、俺がアースランテにいるどんな理由がある?」
「それほどまでにイリアス様を慕っておいででしたのですか。わたしはてっきり……」
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クールラントの詩