祭祀クーラスとエインスベル(十二)
朧月夜
「それはまるで、貴女様が受けた仕打ちを、
そっくりそのまま祭祀クーラスに返すかのようですね?」
「それはそうかもしれない。なるべく穏便に済ませたいのだ。
わたしは、必ずしも祭祀クーラスを殺すことを望んではいない」
「ですが、祭祀クラースは今後、はっきりと貴女への敵意を示すと思いますよ?
祭祀クーラスは、貴女を殺そうとするでしょう。そして、
その手はアイソニアの騎士や戦士エイソス、イリアス・ナディにも及ぶでしょう」
「その通りだ。事は速やかに進めなくてはならない。
まずは、ヨランと連絡を取りたいのだが……ヨランとアイソニアの騎士の所在は、
つかめているか?」エインスベルは、表情を引き締めて尋ねた。
「いいえ、二人とも音信不通でございます。もう二月の時間が経っていますのに……」
「二月か。この間に、クーラスがイリアスを殺さなかったのは、奇跡だな。
大方、この度の戦争に役立てようとでも考えているのだろう。あるいは、
祭祀クーラスの意向はまだ固まっていないのかもしれない」エインスベルは再び思案した。
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クールラントの詩