かよう
やまうちあつし

足が言うことを聞かない

聖地に赴くはずが
とある浜辺に着いてしまった

あの日
地面は大きく揺れて
その日
夜空は異様に瞬いていた

おそらく
人がたくさん流されたからだ
それまで紡いできた
暮らしもろとも

心あるものは
言葉をなくす

あるいは笑うしかなかった
その笑いの意味に
私はたどりつけないだろう
一生

ゆっくり目を閉じる人がいる
まぶたの立てる音が聞こえるくらい
静かにしてくれないか

嘘も本当も
鳴りを潜めて

私には地図が要る
何度でも間違うために


自由詩 かよう Copyright やまうちあつし 2023-02-03 14:53:05
notebook Home 戻る