雪の日の朝
妻咲邦香

雪の日の朝
母屋の裏手のちょうど陰になった辺り
誰が訪れたのか
その道筋で
その深さで
大きさで
振れ幅で
その心に去来したものを
知る

驚きを、知る
ひもじさを、知る
戸惑いを、知る
憤りを、恐怖を
儚さを、逞しさを
知る
希望もあるかもしれない
あるといいなと
思う

決して立派とは言えない母屋の
その裏手
見つけた小さな足跡で
交わることのない営みを
知る

人間は恥ずかしい
こんなに大きな足跡だ


自由詩 雪の日の朝 Copyright 妻咲邦香 2023-02-02 10:32:31
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