おひっこし
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時々 要らなくなる
大人と不実
沈黙する子ども

身を伏せたところ窪みが
分かれはじめた
校医の胸の尖で
放送室の鍵を回す これで
訪れる別離

別の組を 遠くに眺めた
学年の差 それは国境に等しく
同じ造りの校舎裏で
放り出される
成長の哀しみ
時間を戻れても
ひとり真昼に迷う
気づけば私も 要らない子

特別なきもちの 友だちに
引越しの挨拶が
出来なかった罰

初めて 人に
好きだと告げる ずうっと昔
何かひとつ 丘のむこうで
ぽつん 置きさる





自由詩 おひっこし Copyright soft_machine 2023-01-31 22:38:29
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