yatuka

手を伸ばせば届くのに
あなたは誰も殺さなかった
私は翼の生えたものを
片っ端から撃ち落したのに

あなたと共に幾星霜
菌類みたいに蔓延る夜を
私は一人月を眺めて
目が潰れる程に待つだろう

降り出すものを心と呼んで
まだ生きている声がする
書くことのなかった暗闇に
確かめることの出来ぬ愛

死んだあなたの額を撫でて
月より白い自分をのろう
あなたの為に殺せばよかった
花も、木々も、風も、光も


自由詩Copyright yatuka 2023-01-18 19:10:09縦
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