ある画
soft_machine

細い角があった
磨かれたひろい螺旋
立つ者の額にも尖る

薄い翼があった
連続する空間への
感情の無理解を愧じる

持ちあがった身が
鳥の群れとなり羽ばたく
指をおった乾いた窓が
見るのは 月
そして花
こうして失われる
力はいつまでも澄み
偽り、と書された秤に
落とす分銅を 指にとる
その冷たさは


わたしの姫
からからに乾いて
盛んに通り過ぎてゆく冬の
白い炎をめらめらと組む

色うせた空

籠の隙間を見あげるしかない
傍から見れば無邪気さは
砕け散り、そう
筆は画布へ
複雑な形肢だけでなく
光や、闇をも乗せていくのだ
角を削り 翼折られ
加えられる重みに耐えかね
燃え果てたのだとしても

月ばかり見てきた
花ばかり見てきた

失われるから描かれた
短すぎる階





自由詩 ある画 Copyright soft_machine 2023-01-12 19:49:27
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