うお座少年
ちぇりこ。

水を得た夜空です
夜には澄んだ真水がある
手をのばして
触れようとすると
逃げてしまうんだね
小さな星に隠れた
君の息づかいを聴いていると
とても静かな胸の内では
真水が溢れてくる
つま先から浸して
真水は渦をまく早春
攪拌されて
水瓶は表面張力を保てない
青い胸が
いっぱいになったなら
涙は流星雨に
紛れてしまうから
溢れるんなら
泣けばいいよ
歩行者信号の青が
点滅する瞬間
横断歩道の白い部分を選んで
純粋な尾鰭で駆け登る
遡上する
夜空の静脈に
溶け込んで
駆けて、駆けぬけて
君は
夜空で、真水で
青で、早春で
遡上して
光のすじを残して
燃え尽きて


自由詩 うお座少年 Copyright ちぇりこ。 2023-01-06 09:49:39縦
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