ハッジズの野望(七)
朧月夜

そして、ハッジズ・ア・ラ・ガランデは言った。
「ファシブルの国母、マリアノスよ。お前は、
 真の臆病者になったのか。この戦いの地に、出でよ。
 王の登場なくして、何のための戦いか!」

マリアノス・アリア・ガルデは、ハッジズの挑発には応じなかった。
しかし、己の無力ということは感じていた。
ファシブルの国は、今や官僚たちによって統治されている。
王なる自分の力など、他愛も知れないものだと思っていたのだ。

マリアノス・アリア・ガルデは、後陣から声をかけた。
「アースランテ、恐れるにあらず。ファシブルの力を見せつけよ!」
しかし、ファシブルの軍勢は徐々に削がれていった。

アースランテの軍勢は、この二年の間に、十分な力をつけていた。
騎兵、弓兵、魔導士……そのどれもが、他国を凌駕する実力を持っていたのだ。
八千対二万の戦いは、無勢たるアースランテの勝利に終わろうとしていた。


自由詩 ハッジズの野望(七) Copyright 朧月夜 2023-01-04 22:23:00
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