ハッジズの野望(三)
朧月夜
「父上。あなたの方策には問題があると存じます」
クレール・ア・ラ・ガランデは言った。
「今ここでファシブルと対決することが、適切でしょうか?
まずは領民を安んじ、安寧を図ることこそが得策だろうと存じます」
「クレールよ。ここでファシブルを滅ぼせば、
我が国にも安寧がある。しかし、ここで負けたらどうなるか。
そなたにも、先の戦争で負けた悔しさがあるであろう。
国家とは、生き物のようなものなのだ。食わねば、死ぬ」
クレールは顔を蒼然とさせた。父、ハッジズは、
このアースランテを、ライランテのすべてを飲み込むものとして、規定している。
自分の進言には、彼は物ともしないであろう。
「分かりました、父上。あなたの望みのままに。この身は、あなたに従います」
そして、第二次ライランテ戦争の火ぶたは切って落とされたのだった。ハッジズは、
全軍に進撃を命じた。ここに、ファシブルとアースランテの戦いは始まった。
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クールラントの詩