桃の街から
秋葉竹


  

その街は、昔から、
桃の街と呼ばれてた。
私の部屋は、暖かく、
新しい風が、吹きぬけている。

真珠のような、星々が、
ピカリ、ピカリ、とまたたいて、
たまには、ななめに、ながれおち、
そっと静かに、消えてゆく。

昼間の雨で、たまった水面に、
真っ白な月が、お皿のようで、
部屋から見おろす、綺麗な円は、
たまに、魚が、揺らしてゆくよ。

部屋でまだ寝て、寝息をたてて、
彼女は少し笑っているよう。
朝が来るまで、しあわせそうに、
たまにはちいさな、寝言も聴くよ。

泣きたいような、このしあわせに、
も一度夜空を、ゆっくり眺めて、
これから、私は、桃の街には、
笑いしかない、未来を、夢みる。








自由詩 桃の街から Copyright 秋葉竹 2022-12-30 16:27:42
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