エインスベルの逡巡(五)
朧月夜
そして一同の前に、クシュリー・クリスティナが現れた。
彼女は青白い顔をして、戦士エイソスを見つめる。
自分がどうしてここで招かれたのか分からない、といった表情だった。
その面持ちを、エインスベルは冷めた目で見つめる。
「さて、クシュリー殿。なぜ、あなたがここへ招かれたのか、
分かっておいでですか?」エインスベルは棘のある口調で言った。
「止せ、エインスベル。彼女は無辜なる存在なのだ」
戦士エイソスは、妻を庇い立てして言うのだった。
「そこなる巫女が、この世界へ助言をしたいと願う。
そうであるならば、その意向に任せても良いと思う」と、エインスベル。
「世界に対する助言など……」一瞬、クシュリーは戸惑った。
しかし、次の瞬間には顔色を元に戻して、エインスベルへと向き直った。
「魔導士(=ウィザム)は、この世を滅ぼす存在です」と、決然とした表情で述べる。
「そうですか。貴女の考え、しかと聞かせてもらいましょう」
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クールラントの詩