囚われたイリアス(七)
朧月夜

イリアスは、このガージェスという男には逆らわないほうが懸命だ、
と判断した。この男の言葉とは裏腹に、
彼はいつ彼女を殺してもおかしくないように思われたのだ。
(そして、グーリガン様をも手にかけるかもしれない)

全ては成り行き次第なのか……と、イリアスは思う。
彼女は、自分がアースランテ第三王室の娘だということは、
全く知らなかった。コウロウ・ノームは、そのことをひた隠しにしていたのである。
イリアスは、十三歳とは思えない慧眼の持ち主だったのだが……

人の出自というものは、時として、耐えがたいほどの宿命を人に負わせるものである。
イリアスの場合もそうだった。そして、このアースランテという国では、
国王であるハッジズ・ア・ラ・ガランデが復讐を決意している。

ハッジズは、未だに幽冥界グリンディアのデーモン、ラーディガンと契約をしていた。
やがては幽冥界から、何百という悪鬼を呼び寄せるかもしれない。
(そうすれば、次の戦争が始まる)と、幼いイリアスは思った。


自由詩 囚われたイリアス(七) Copyright 朧月夜 2022-12-07 19:22:19
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