戦士エイソスとエインスベル(三)
朧月夜

「ここを通す前に、聞かなくてはならないことがある。お前は何者か?」
「わたしは、エインスベル。戦士エイソスの古い友人だ」
「友人? エイソス様には多くの知己がいらっしゃる。親しい者から、
 信用のおけない者まで。知己だというだけで通すわけにはいかない」

「あなた方のおっしゃることも、もっともなことだ。
 しかし、事態は急を要するのです。ここはわたしを信用してほしい」
エインスベルは、今唯一の武器であるダガーを差し出しながら、言う。
「これを。武器を持ったままでは、信頼は得られないでしょう」

門番たちは、顔を見合わせた。リグナロスも、持っていた長剣を取り出す。
「武器を差し出すというのであれば、考えないこともない。
 今、エイソス様に問い合わせて来る。それまで待っていよ」
 
どうやら、殊勝にしたのが効果を発揮したようだった。
エインスベルは、門番たちに気づかれないように、そっと一つ息をつく。
リグナロスは、(エインスベル様でも不安に感じる時はあるのか……)と思っていた。


自由詩 戦士エイソスとエインスベル(三) Copyright 朧月夜 2022-11-26 08:02:08
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