ハツのいのち
服部 剛

昨夜の味噌汁には
黒い目の海老と、刻んだねぎと
白いハツが入っており

骨を気にしてんでいたら
私の前歯の隙間から
か細い小骨が、一本とび出した

指でつまんで卓に置き
「糸島」という名の日本酒を
くいと、喉に流し込む

か細い骨が
在りし日に、海で泳いだ
銀色のいのちを支えたことを偲ぶ

私の腕に無数に生える
か細い毛たちも
わらわら
めらめら
ゆらゆら
今ここに、鼓動する
血液はからだを巡りゆく

頬杖ついてもの想う宵──
椀の底の黒い瞳が一瞬、光った









自由詩 ハツのいのち Copyright 服部 剛 2022-11-19 16:06:40
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