希求
秋葉竹

  

シオン、
って星の砂を
ひと握りでいい、
この胸にかけて欲しいのです

だって、
歌をうたいたいからです

歌を、
うたいたいわけがあるからです


きっと、
梅田の「水中翼船」で
5時間も君を待った
スマホも
ケータイさえ持ってなかった過去の
僕の、
君を大好きな気持ちのなかに
きっと、
シオンの砂の
ひと粒くらい
まざっていたと思うのです

でもだから、
僕のからっぽの心には
君のやさしいまなざしと
君のあどけない微笑みと
君の狡猾で純真な生身が
溶けこんでしまって
いまは
死ぬまでいっしょに過ごしたい

そんな不遜な嘘みたいな幸せを
どうしても求めてしまうのです

いまだって、
耳の穴にそっと吹きかけてくれた
自然の風よりも艶めかしい
かすかな小声で
そんなこと云うもんだから、
ハハ、
えいえんに僕は
大人になれないなぁ、
いつだって僕は
君の
血を吸いたくてウズウズしている
吸血鬼の末裔なんです

だから、

シオンの砂を
ひと握りでいい、
この胸にかけて欲しいのです

そして、

君をどれだけ好きかって歌を
どれだけ恥ずかしくても
世界中に聞こえるような
大きな声で

うたいたいと
想うのです

ホンキ、です!







自由詩 希求 Copyright 秋葉竹 2022-10-22 11:53:12
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