やさしい涙
秋葉竹


スイレンの
花びらそよぐ細い声
夜を徹してなくひとのこえ

残りゆく
季節の色にいまだけは
むらさきいろに染まれ黄昏

まっすぐに
真っ赤な薔薇を好きと云う
ほどの豪奢なこころになりたい

階段に
転がる蝉の骸たち
わたしはちゃんと生きれていますか

できるなら
空がこぼした瞬間の
涙みたいなうたうたいたい

その胸の
ど真ん中にはだれが住み
だから清(す)んでいるというのか

真っ芯の
疾しい嘘を暴き立て
嘲笑(わら)うな嘘でもやさしい涙だ

花びらの
ただ音も無く散るさまが
胸の泉に落ちる、ひらひら








自由詩 やさしい涙 Copyright 秋葉竹 2022-10-21 06:27:03
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