ゴキブリ
杏っ子

おかしいくらい、
私の人生が冴えていたことは、ない。
ただの1度もない。
休日は後ろの席の嫌な男のことを
ずっと嫌だという思いが消えない
ずっと好きな人がいて報われないけど恋に囚われていた方が100倍ましだ。
休日に好きでもない男、嫌いな男のことを考え続けるなんて拷問だ。
心の組織が破壊されている。
最悪じゃないか?
嫌いなことをし、嫌いな人のことを考え、
嫌いに取り囲まれているなんて。
そんなのは呪われた人生であり時である。
好きなものとも好きな人とも結ばれない、
私の冴えない古ぼけたカビだらけの
夜中に身体をゴキブリが這うほどの汚さの
爆発したクローゼットの服で
着飾るまでもない、貧相な身体と
ノーメイクの顔に、シミを浮かべて
ほら人生が涙のシミに彩られる




自由詩 ゴキブリ Copyright 杏っ子 2022-10-01 17:03:13
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