世界の真実(十二)
おぼろん

「やはり、これは罠だな?」アイソニアの騎士は、オーマルを睨(=ね)め付けるように言った。
「大方、俺たちのような厄介者を、ドラゴンに食わせようというのであろう?
 その手は食わぬ。そもそも虹の魔法石などと、本当に存在するものなのか?」
アイソニアの騎士に対して、”オーマル”は言った。「それは、ございます」──と。

それは、再び女の声だった。まるで正気を失った狂人が己を取り戻したように、
オーマルは、そこに粛然と立っていた。ヨランががっくりと来た。
というのも、彼はもっと多くのことをエランドルから聞き出せるものだと、
考えていたからである。しかし、今ではどうしようもない。彼は去ったのだ。

「それで? 我らはクーゲンドルという場所へ行けば良いのか?」
──アイソニアの騎士の早い立ち直り。それに対して、ヨランは「そこには千の龍がいるのですよ?」
「分かっている。その龍どもを、皆屠れば良いのであろう?」

「あなた様はなんとも豪胆な……」ヨランは苦笑した。彼は、
魔法素子というものが何であるかについても、もう少し訊いておきたかったのだ。
しかし、一行の旅は未だ半ばであるらしい。(その最後において、自分はまた彼と会えるのか?)


自由詩 世界の真実(十二) Copyright おぼろん 2022-09-27 20:47:02
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