世界の真実(十一)
おぼろん

「それは、エインスベル様の命でございます」と、ヨランは言った。
「当たり前だ! 俺たちは、虹の魔法石を求めて、ここへ来たのだ!
 それがエインスベルを救うと、この盗賊が言うからな!」と、アイソニアの騎士。
じりじりとした時間が流れていた。この世界、ハーレスケイドでは時は流れないのに……

ここにいる四人の間では、一瞬が一万年にもあたるような、
焼けつくような時間が経験されていたのである。
「おい、女。虹の魔法石はどこにある?」再び、アイソニアの騎士が口を開いた。
「汝には、我が女と見えるか。そうか。……虹の魔法石は、この地にある」

オーマル。いや、エランドルが言った。空中にまた一つの映像が映し出される。
そこは、クーゲンドル、というハーレスケイドの土地であった。
「エランドル様。わたしは、魔法石はメルロトーツにあるものと……」

「オスファハンが言ったのだな? あの男は、お前たちの時間で十年前にここへと来た。
 しかし、今とあの時とは違う。虹の魔法石は、クーゲンドルにあるのだ。
 そこには、千を超えるドラゴンの群れが跋扈している」……恐ろしい言葉だった。


自由詩 世界の真実(十一) Copyright おぼろん 2022-09-27 20:44:47
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