世界の真実(八)
おぼろん

「あなたはなぜ、『言語崩壊』を引き起こしたのですか?
 エランドル様。それによって、人間社会が滅びることなど、
 分かっていたでしょうに?」──この時のヨランは、探求心を満たすというよりは、
世界を救いたい、という情熱で話していた。

その真摯な姿勢は、オーマル、いやエランドルにも伝わる。
「『言語崩壊』は、我らの仕業ではない。そのことを知るには、
 事前にあることについて理解しておかなければならない。
 それは、『魔法素子』に関することだ」──オーマルの口を通して、エランドルは言った。

「魔法素子? それにはわたしも興味がございます。魔術とはいったい何なのか?
 わたしは、それが一種の科学だと思っているのですが?
 例えば、現実世界をも変えてしまう、一つの言語だと」

「その認識は正しくない。魔法素子とは、『生き物』なのだ」──と、エランドル。
「生き物……? それはどういう意味でございますか?」
「魔法素子は生きている。魔法素子とは、微小な機械生命体だ」


自由詩 世界の真実(八) Copyright おぼろん 2022-09-26 19:18:00
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