一杯のお茶
yasutomi



    一杯のお茶



クラスの担任から庭の清掃を頼まれて
友人と二人で出かけたことがある
その日は朝から、池の水を浚ったり
集めたごみをトラックに載せたりしていた
作業を初めて二時間近くがたったころ
先生の娘が「お茶にしませんか」と声をかけてきた
私達がお茶を飲んでいるとピアノの音が聞こえてきた
彼女が私達のために弾いているのだと思った
人生について考えるとき
私はいつもその時のことを思い出す
――絶望してはいけないと
だが、現実は理不尽なものである
お茶どころか水が出ないこともザラである

私は辛抱強く待っている
一杯のお茶と「ご苦労様」という声を



自由詩  一杯のお茶 Copyright yasutomi 2022-08-21 13:31:09縦
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